教師付き分類について説明します

教師付き分類

教師付き分類の概要

 教師付き分類は、分類前にあらかじめその場所が何であるか、地物がわかっている場合に、地物の特徴データを教師として、分類する手法です。

 分類する地物の特徴データを教師データとして分類する手法を教師付き分類といいます。

 教師付き分類は、分類対象の画像の特徴量を教師データとして、これを使って画像分類処理を行うことをいいます。

 主な処理方法は、次のとおりです。

 ◆レベルスライス法

 ◆最短距離法

 ◆最尤法


レベルスライス法

 レベルスライス法は、地物の特徴量を、各バンドの範囲(最小値以上、最大値以内)で表し、この範囲を教師として利用し分類する方法です。

 分類対象画素の各バンドの輝度値が、ある地物の範囲(最小値以上、最大値以内)内にある場合、その地物に分類します。

 3つのバンドを使った場合のマルチレベルスライスの概念図を、以下に示します。

level slice


最短距離法

 最短距離法は、地物の特徴量を、各バンドの平均輝度値で表し、これを教師として分類する方法です。

 分類対象画素の各バンドの輝度値と、教師データ(地物の各バンドの平均輝度値)との距離を計算し、この距離が最も短い地物に分類します。


最尤法

 最尤法は、地物の特徴量を、各バンドの平均輝度値と分散で表し、これを教師として分類する方法です。

 分類対象画素の各バンドの輝度値と、地物の各バンドの平均輝度値から計算される偏差行列と偏差の転置行列、そして分類対象地物の分散共分散行列式と地物の分散共分散逆行列を使い、以下の式の値(尤度)が最大になる地物に分類します。

Maximum likelihood estimation


 Landsat-8データを対象に、画像処理ソフトRSPを使った最尤法分類の事例を以下に紹介します。
 まずは、GeoTIFFフォーマットのLandsat-8をメニュー「ファイル」→「フォーマット変換」→「TIFF(GeoTIFF)」→「16bit -> RAW(Unsigned int)」でRAW画像に変換します。フォーマット変換対象は、バンド2・3・4・5・6とします。
 バンド3・4・5をメニュー「ファイル」→「カラー合成」で合成します(Blue画像:バンド3、Green画像:バンド4、Red画像:バンド5)。
 次に、メニュー「色調」→「自動色調調整」で、画像を見やすくします。
 ここまでが、準備作業になります。
 まずはじめに、教師データを取得します。メニュー「教師付き分類」→「教師座標」→「新規取得」をクリックします。これ以降、特定の教師データを取得します。      

Maximum likelihood estimation 01

 例として、水域の教師データの取得画面を以下に表示します。教師データの取得はマウスの左クリック、取得の終了は右クリックです。
 水域(沼)に赤色の四角形が描かれていますが、これがマウス左クリックで水域の教師データを取得した領域になります(この場所以外に海域や他の湖沼データも取得します)。

Maximum likelihood estimation 02

 対象クラスの教師データを全て取得したならば、最尤法による分類画像作成を行います。
 メニュー「教師付き分類」→「最尤法分類」を選択します。

Maximum likelihood estimation 03

 最尤法分類フォームが表示されます。

Maximum likelihood estimation 03

 ここで、クラス設定で教師データファイル名を登録するとともに、色設定(各クラスに対して色を付ける)を行います。また、チャンネル設定で分類画像作成に使用する画像データファイル名(バンド2・3・4・5・6のファイル名)を登録(最大7バンドのファイル名が登録可能)します。
 この処理によって、作成した分類画像を以下に示します。

Maximum likelihood estimation 05