主成分分析について説明します。

主成分分析(Principal Component Analysis)

主成分分析の概要

 主成分分析は、多次元のデータを、特徴を残したまま、より次元数の少ないデータに集約する場合に使用します。
 リモートセンシング画像解析においては、4つ以上異なる波長帯の観測データを3つの画像データ(第1主成分、第2主成分、第3主成分)に集約する場合に使用します。
 以下に、主成分分析についてグラフを用いて解説します。
 データの特徴量を表すということは、分散が最大になるように、グラフの軸を新たに設定し、その軸に対してデータを投影することになります。
 以下の散布図において、分散が最大になる軸は、赤色の軸に相当します。

pca_fig

 この赤色の軸に投影した値が、すなわち特徴量を表すデータになります。ここで、赤色の軸に投影した値を第1主成分といいます。
 次に、赤色の軸に直交する軸で、その軸に投影する値の分散が第1主成分の次に最大となる軸が、2番目の特徴量を表す軸(青色の軸)になります。ここで、青色の軸に投影した値を第2主成分といいます。

 第3主成分は、第2主成分の軸に直交する軸に投影した値で、分散が第2主成分の次に大きくなるものになります。

 衛星データの主成分分析では、第1主成分、第2主成分、第3主成分に、それぞれ、赤、緑、青を配色(配色の組み合わせは自由)することで、色の違いで画像の特徴を把握します。
 (色はRGBの3色で表すため、多次元(4バンド以上)データを3次元データ(3つのデータ)に圧縮し、カラーで表現します。)


主成分分析画像の作成方法

 リモートセンシング画像処理ソフト「RSP」を使った衛星データの主成分分析画像の作成方法について説明します。
 フリーソフト「RSP」は、主成分分析機能ならびに主成分画像作成機能を持っており、最大7画像を3つの画像(第1主成分画像、第2主成分画像、第3主成分画像)に特徴を集約することができます。
 以下の画像作例において、対象とする衛星データは、Landsat-8で、バンドは、2,3,4,5,6の5バンドです。
 主成分分析処理では、この5つのバンドの特徴量を3つの画像で表現します。

【準備作業(フォーマット変換)】
 Landsat-8のバンド2、3、4、5、6のGeoTIFFファイルをRSPで取り扱うことができるように、RAWファイルにフォーマット変換します。
 フォーマット変換は、RSPのメニュー「ファイル」→「フォーマット変換」→「TIFF(GeoTIFF)」→「16bit -> RAW(Unsigned int)」で行います。
 5つのファイルをRAWファイルにフォーマット変換した後、以下の作業で主成分分析及び主成分分析画像を作成します。

1.主成分分析の実施

 メニュー「分析」→「主成分分析」→「主成分分析」を選択すると、主成分分析フォームが表示されます。

pca_01


pca_02

 ここで、画像ファイルのフォーマットをプルダウンメニューで選択し、各々の「ファイル設定」ボタンで、バンド2、バンド3、バンド4、バンド5、バンド6のファイル名を登録します。
 次に「分析画像数」をプルダウンメニューで選択(今の場合は、5つのバンドのため、「5」を選択)し、「OK」ボタンを押します。

pca_03

 しばらくすると主成分結果(固有値、寄与率、累積寄与率、各係数)が表示されます。
 下記に示す累積寄与率を見ると、第1主成分データだけで全体の約94.7%の情報を占めており、第1主成分から第3主成分まででは全体の約99.7%の情報を占めていることがわかります。

pca_04


2.主成分画像の作成とカラー合成画像の作成

 主成分結果の画面を消した後、メニュー「分析」→「主成分分析」→「第1主成分画像作成」を選択します。

pca_05

 セーブダイアログが表示されるため、ここで、ファイル名に第1主成分画像のファイル名(任意のファイル名)を登録し、「保存」ボタンを押します。
 この結果、第1主成分画像が作成されます。

 第2主成分画像と第3主成分画像は、第1主成分画像作成と同様に、メニュー「分析」→「主成分分析」→「第2主成分画像作成」、ならびに、メニュー「分析」→「主成分分析」→「第3主成分画像作成」で行います。

 以上の方法で、3つの主成分画像が作成されます。

 次に、作成した3つの主成分画像に対し、カラー合成処理を行います。
 メニュー「ファイル」→「カラー合成」を使い、第1主成分画像に青色を、第2主成分画像に緑色を、第3主成分画像に赤色を配色します(配色の組み合わせは自由です)。
 最後に、メニュー「色調」→「自動色調調整」を選択することで、画像の特徴を表す主成分分析カラー画像ができあがります(下図参照)。

PCA_image