カラー分解

カラー分解

RGB(赤・緑・青)分解

 デジカメやスマートフォンで撮影したカラー写真ファイル(JPEGファイル)を、パソコンやスマートフォンで表示する場合、通常、赤色、緑色、青色の画素をカラー合成処理して表示しています。JPEGファイルなどのカラー画像写真には、3色(赤色・緑色・青色)のそれぞれの画像データが収録されています。しかしながら、カラー画像の元になっている赤色画像や、緑色画像、そして赤色画像を、我々はほとんど目にすることはありません。
 これとは反対に、リモートセンシング画像解析で使用する画像は赤色波長帯の光を撮影した画像、緑色波長帯の光を撮影した画像、青色波長帯の光を撮影した画像など、各波長帯を観測した画像に分かれており、解析者は、必要な波長帯の光の強さを撮影した画像を選択し、選択した画像に対してカラー合成処理をはじめとする各種画像処理を用いて解析を行っています。
 カラー写真をリモートセンシング解析のように取り扱うには、カラー写真を3色の画像にカラー分解しなければなりません。著者の大学では、リモートセンシングの基礎である光の3原色やカラー合成処理に関する演習を、個々の受講学生が撮影したデジタル写真を使って行っています。
 リモートセンシング画像処理ソフトRSPは、カラー画像を3つの画像にカラー分解する機能を有しています(当たり前ですがカラー合成機能もあります)。
 RSPを使って、JPEGのカラー写真を光の3原色である赤・緑・青にカラー分解する事例を以下に示します(なお、使用する写真は、元の写真サイズを40%に縮小しています)。


(1)JPEG画像の読み込み
 RSPを起動し、メニュー「ファイル」→「開く」→「JPEG」をクリックし、JPEGファイルを開きます。







(2)カラー分解処理
 RSPでは、カラー分解後の画像は、BMPフォーマットになります。
 メニュー「ファイル」→「カラー分解」をクリックします。「保存先Blueファイル名を指定する」と表示されるため、カラー分解後の青色ファイル名を入力します(例えば、ファイル名「B」とか)。次に、「保存先Greenファイル名を指定する」と表示されるため、カラー分解後の緑色ファイル名を入力します(例えば、ファイル名「G」とか)。次に、「保存先Redファイル名を指定する」と表示されるため、カラー分解後の赤色ファイル名を入力します(例えば、ファイル名「R」とか)。これによって、青色の画像ファイル、緑色の画像ファイル、赤色の画像ファイルに分解されます。




 カラー分解した青画像、緑画像、赤画像を以下に示します。

<青画像>
 空や海の青色部分と、雲や波の白色部分が明るく表示されています。



<緑画像>
 植生域の緑色部分と、雲や波の白色部分が明るく表示されています。



<赤画像>
 カラー写真には赤色部分がほとんどないため、全体に暗く表示されています。雲や波の白色部分が明るく表示されています。



 青画像、緑画像、赤画像のそれぞれに、青色、緑色、赤色を色付けした画像(シュードカラー画像)を以下に示します。
 画像の作成(各色のフィルターで色付けする処理)は、メニュー「色調」→「シュードカラー」→「カスタム」で、RSPシステムが収録されたフォルダ内の「pseudo」内の「filter_blue.csv」、「filter_green.csv」、「filter_red.csv」を選択することで作成されます。
 元のカラー写真は、以下の3枚(青・緑・赤)の画像を重ね合わせたものになります。

<青画像(青色に色付け)>



<緑画像(緑色に色付け)>



<赤画像(赤色に色付け)>


HSD(色相・彩度・明度)分解

 色は、光の3原色である赤・緑・青で表現する場合と、色の3属性の色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Brightness)で表現する場合とがあります。
 色相は色の違い、彩度は色の鮮やかさの度合い、明度は色の明るさの度合いを表します。イラストやファッション業界(カラーコーディネート)では、色をHSDで表現しますし、リモートセンシングでは、パンシャープン画像を作成する場合に、このHSB分解処理を使います。