ワールドファイル(World file)の内容、ワールドファイルの作成方法について

ワールドファイル

ワールドファイルのファイル名

 ワールドファイルのファイル名は、画像ファイル名と同じ名前で、拡張子を以下のように付けます。

 「画像ファイル拡張子の初めの文字」+「画像ファイル拡張子の最後の文字」+「w」。
 拡張子は、ビットマップは「bpw」、JPEGは「jgw」、TIFFは「tfw」です。

 なお、ワールドファイルは、画像ファイルと同じフォルダ内に入れておきます。


ワールドファイルの内容

 ワールドファイルは、画像に位置情報を持たせるための情報を記録したファイルです。
 ただし、座標しか記録していないため、GIS等を利用して画像を所定の位置に表示するには、別途、座標系をユーザーが指定しなければなりません。
 座標系と座標の両方がないと、地球上での位置を特定することができません(ワールドファイルだけでは画像の位置を特定できない)。
 このため、ワールドファイルは、ファイル内に座標系と座標値の両方記録されているGeoTIFFよりは使い勝手が悪いといえます。

 ワールドファイルの情報内容は、一言でいえば下記のアフィン変換式の係数(a,b,c,d,e,f)です。
 ここで、X座標は、東方向(右方向)、Y座標は北方向(上方向)になります。
 X=a・x+b・y+c
 Y=d・x+e・y+f

 ワールドファイルは、6つの数値をテキスト形式で記録しています。ワールドファイルの内容の例を以下に示します。

 2.5
 0.0
 0.0
 -2.5
 357907.598664
 3994193.441964

 1行目は、アフィン変換式の係数a
 2行目は、アフィン変換式の係数d
 3行目は、アフィン変換式の係数b
 4行目は、アフィン変換式の係数e
 5行目は、アフィン変換式の係数c
 6行目は、アフィン変換式の係数f

ワールドファイルの作成方法

 ワールドファイルは、アフィン変換式の係数であるため、画像の4点の座標がわかればアフィン変換式の係数を求めることでワールドファイルを作成することができます。
 もっとも簡単な4点は、画像の四隅(左上、右上、左下、右下)になります。
 Landsat-8衛星画像(UTM座標)を対象に一例を以下に示します。
 条件として、画像ピクセル数は、幅(Pixel)=7751、高さ(Line)=7891、点(Point)データとします。
 画像の四隅の座標は、次のとおり。

 画像の左上座標(0,0)に対応する実座標(306000,4107000)
 画像の右上座標(7750,0)に対応する実座標(538500,4107000)
 画像の左下座標(0,7890)に対応する実座標(306000,3870300)
 画像の右下座標(7750,7890)に対応する実座標(538500,3870300)

 ここで、点(Point)データのため、画像の右下座標は(幅−1,高さ−1)になります。ちなみに、面(Area)データの画像右下座標は通常、(幅,高さ)になりますが、ALOS-2(PALSAR-2)のように実座標がピクセル中心座標を示す場合の画像左上座標は(0.5,0.5)、画像右下座標は(幅−0.5,高さ−0.5)になります。

 リモートセンシング画像処理ソフトウェアRSPを使う場合、メニュー「幾何補正」→「GCP」→「新規GCP設定」で、GCP数を4、各データは、次のとおり入力します。
 0,0,306000,4107000
 7750,0,538500,4107000
 0,7890,306000,3870300
 7750,7890,538500,3870300

 次に、メニュー「幾何補正」→「GCP」→「GCP評価(アフィン変換)」で、入力ファイルを指定すると、係数は、次のとおり表示されます。

 a=30 ・・・・・x方向の1ピクセル間距離(1ピクセル長)(1ピクセル分解能)
 b=0    ・・・・・yの回転パラメータ
 c=30600  ・・・・・画像左上(原点)のX座標(実座標)
 d=0    ・・・・・xの回転パラメータ
 e=-30   ・・・・・y方向の1ピクセル間距離(1ピクセル長)(1ピクセル分解能)
 f=4107000 ・・・・・画像左上(原点)のY座標(実座標)

 よって、ワールドファイルの値はこれを並べ替えて、次のようになります。

 30      ・・・・・a
 0      ・・・・・d
 0      ・・・・・b
 -30     ・・・・・e
 30600    ・・・・・c
 4107000   ・・・・・f

 このように画像に回転がない(アフィン変換式のbとdがゼロ)場合は、アフィン変換の係数を画像左上の実座標と1ピクセル長(x方向の長さとy方向の長さ)で表現できることがわかります。
 アフィン変換式のeの値がマイナスなのは、実座標のY座標は上方向(北方向)が正であるのに対し、画像y座標は下方向(南方向)が正であり、実座標と逆の方向になっているからです。

 経緯度の場合も同様です。


ワールドファイル(アフィン変換式)とGeoTIFFの対応

 ワールドファイルは、アフィン変換式の係数であることから、GeoTIFFの「Model Transformation」の値に対応します。
 「Model Transformation」の係数aからp(16ケ)に対応するアフィン変換式の係数aからf(6ケ)の関係は、以下のとおりです。
 
 a=アフィン変換式の a の値
 b=アフィン変換式の b の値
 c=0(ゼロ)
 d=アフィン変換式の c の値
 e=アフィン変換式の d の値
 f=アフィン変換式の e の値
 g= 0(ゼロ)
 h=アフィン変換式の f の値
 i= 0(ゼロ)
 j= 0(ゼロ)
 k= 0(ゼロ)
 l= 0(ゼロ)
 m= 0(ゼロ)
 n= 0(ゼロ)
 o= 0(ゼロ)
 p=1